連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・22
「医療の質・安全」を考える
尾身 茂
1
1WHO西太平洋地域事務局
pp.84-85
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100242
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昨年11月25日に東京で開催された「医療の質・安全に関する学会」の設立記念会議でお祝いの講演を行ったが,この「医療の質・安全」については,WHOとしての立場はもとより,個人としても大変興味のあるテーマであった.今回はこの講演の内容について話そう.
医療事故の現状を見ると,世界の研究結果では,急性期病院入院時における有害事象の発生頻度として,表のように報告されており,アメリカの報告を除けば,概ね10%前後で推移している.急性期病院に入院した10人に概ね1人の患者が有害事象を経験しているとすれば,驚くべき事実に違いないが,こうした研究結果が発表された際には,それほど世間の関心を呼ばなかった.
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