連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・5
絵が語る力 『鹿よ おれの兄弟よ』『ハルばあちゃんの手』
柳田 邦男
1
1作家
pp.664-665
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100218
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絵本は絵と言葉が共鳴し合うことによって,奥行きのある立体的な世界を創り出すメディアである。絵は言葉の単なる説明役でもなければ,添え物でもない。言葉もまた,絵が語り切れないところを補うものでもない。
絵本の言葉は,簡潔に洗練された象徴的あるいは詩的なものであってこそ生き生きとしたものになるし,絵は一枚一枚が独立性をもって描かれたとき,ひとりでに何かを語り始める。両者はそれぞれに独立したものであると同時に,内容がしっかりと結ばれたものになったとき,絵本ならではの膨らみのある世界が立ち上がってくるのだ。
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