世界の波
おれの身になつてみろ……ドイツ国民
末松 満
pp.34-35
発行日 1953年2月10日
Published Date 1953/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200457
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1月20日アメリカ大統領に就任するアイゼンハウアー元帥が,なにはさておき手をつけなくてはならぬものは,韓国軍隊の増強であり,そして(一番大事なことは)アメリカ兵を朝鮮から出来る限り引揚げることである.すでに12月はじめ,世界を騒がす大芝居がかりで朝鮮を訪れ,現場を見てきた元帥のことだから,手筈は着々ととのつていると思うが,韓国軍だけではとても足らぬ,と考えはじめている模樣だ.そこで眼をつけるのはお隣りの国--狹い4つの島に8,400万が満ちあふれ,さらに年々増えていく素晴しい人的資源--であることは疑いない.アメリカ政府がアメリカ国民の血を流さぬように,他国の国民を便おうとする気持は当然のことだし,決して悪いとは申さぬが,使われる身になつてみやしやんせ,仕事は生命がけ,そうやすやすとは身を委せられぬ.
日本の沿革警備のため,アメリカから68隻の船を下さる,という,「ありがたや」とばかり吉田政府は頂戴に及んでいるが,そのうち18隻はフリゲート艦という1,500トンばかりの軍艦であり,アメリカは戦争する気でこしらえた品物,日本人の眼にだつて,昔あつた2等駆遂艦そつくりに映る.残る50隻は,LSSL艇と称するが,なんのことはない,戦争中われらをおびやかした上陸用舟艇のなれの果てだ.一体日本の警察は,どこへ上陸しようというのだろう.
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