特集 プリセプターシップの光と影
管理者の役割と責任
褒め合い,認め合える職場づくり
久田 満
1
1東京女子医科大学看護学部人文社会科学系心理学
pp.174
発行日 2005年3月10日
Published Date 2005/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100123
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「良い行動に対してふんだんに褒美を使い,罰をほとんど使わないという両親の子どもは,どんな子どもになりますか」。この質問は,アメリカの心理学者が親教育のために作ったクイズ(全部で20問)の中の1つである。私はこれを日本の現状に合うように修正し,「子育てクイズ」と称してプリセプター研修でも使ってみた。最も多い答えは,「何か貰えるのでなければ親に協力しない子どもになる」である。他の研修会などでも使ってみたが,回答者がサラリーマンでも大学生でも,あるいはベテランの看護師でも,この答えが60~70%となる。正解の「行儀の良い協力的な子どもになる」と答えるのは,どの集団でも10%程度。性差や年齢差はない。学歴も関係ない。なぜなのだろうか。
理由の一つは,そんなふうに育てられた経験がないので実感がわかないからであろう。毎日毎日,褒められる。イヤというほど褒められる。そんな少年少女時代を過ごした人は稀なので,理論で説明してもなかなか腑に落ちないようだ。一方,正解する人は「自分は褒めて育てられて,幸せだったから」と言う。
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