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はじめに
人工呼吸器関連肺炎は,臨床ではVAP(Ventilator-Associated Pneumonia)という略称で呼ばれることが多い。VAPとは,人工呼吸開始から48時間以降に発生した肺炎であると定義されている。人工呼吸4日以内に発症した場合を早期VAP,5日以降に発症した場合は晩期VAPと分類される。VAPとは,なんらかの特殊な肺炎を意味するわけではない。さまざまな病原菌によって引き起こされた感染性肺炎の総称であり,院内感染症の1つとして認識されている。
人工呼吸中の患者に最も長く接し,回復を促すさまざまな処置を施す役割は,看護師が担っている。患者の体幹や口腔のケア,呼吸回路の管理,または鎮静下の患者に対する理学療法や,面会に訪れた患者家族に対するサポートに至るまで,きわめて多岐にわたる業務が日々の看護として行なわれている。ところが,日常的に行なわれるさまざまな医療行為には,VAP発症のリスクが内在している。看護業務がVAP予防として機能する反面,VAPの原因となる可能性がある。
1980年代より,世界中でVAPに関する調査が行なわれてきたが,現在も解明されていない問題が多い。どのような医療行為がVAPを防ぐことができるのか,そして最終的に患者の予後に貢献しうるのか,これらの本質的な問いに対する答えは明確でない。
本稿では,VAPの基礎的な事柄を示しながら,リスクと予防という観点から,看護師がかかわるさまざまな医療行為のもつ問題点について概説し,看護研究の必要性について述べたい。
Ventilator-Associated Pneumonia (VAP) is a sub type of hospital-acquired pneumonia that develops in patients who have been intubated and have received mechanical ventilation for at least 48 hours. VAP contributes significantly to morbidity and mortality in critically ill patients. Many previous studies have shown the risk factors and preventive management for VAP and that they are intimately related to each other. The care of the mechanically ventilated patient is at the core of a nurse's clinical practice in the Intensive Care Unit, including tracheal suctioning, oral care which is related to preventing the development of VAP. In this paper, risk factors of acquiring VAP, the current nursing measures and clinical practice to prevent VAP, and the need for further nursing research on VAP are discussed.
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