講座 作業療法に必要なリスクマネジメントとフィジカルアセスメント・第4回
呼吸器・心大血管疾患におけるリスクマネジメント
生須 義久
1
Yoshihisa Namasu
1
1群馬県立心臓血管センター
pp.862-871
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100598
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Key Questions
Q1.呼吸器障害・循環器障害とは?
Q2.呼吸器・心大血管リハにおける適応と禁忌は?
Q3.作業療法実施時の注意点は?
わが国では診療報酬の改定に伴い,この10年間で作業療法における診療報酬体系が大きく変化している.2006年(平成18年)の改定ではそれまでの作業療法,理学療法,言語聴覚療法の区分に代わって疾患別リハが導入され,2010年(平成22年)の改定では呼吸器リハ,2014年(平成26年)の改定では心大血管リハ料においてOTの算定が可能となった.データはやや古いが,日本作業療法協会が行った調査をまとめた『作業療法白書』によると,2010年時点で医療領域施設の47.3%(65歳以上:47.3%,65歳未満:24.3%)で呼吸器疾患患者を,45.8%(65歳以上:47.3%,65歳未満:24.5%)で心臓疾患患者を作業療法の対象として挙げている1).また,保険・福祉の領域においても36.5%が呼吸器疾患患者を,40.3%が心臓疾患患者を作業療法の対象としている2).今日の医療技術の向上は,それまで困難であった重症患者や高齢患者の救命を可能にしているが,一方で,多疾患有病者や高齢患者,重症患者が増加している.これらの患者の早期回復,早期退院,早期社会復帰を図るためには,OTが重要な役割を担うが,安全に作業療法を進めるためには患者の病態や臨床情報を統合していくことが重要である.
本稿では呼吸器疾患,循環器疾患の作業療法実施におけるリスクマネジメントについて述べたい.
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