連載 スクラブ・ナース 2年生・13
スタッフナースの1年を振り返って
鈴木 美穂
pp.471
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100088
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- 文献概要
ニューヨークでスタッフナースとして働き始めて1年が過ぎた。1年足らずのうちに,病院を変わり,診療科も変わったので,すべてが見えていないということもあろうが,この1年の感想をひと言でまとめるなら,ニューヨークでの病棟スタッフナースの仕事は日本のそれよりもつまらないということである。
第1の理由は,在院日数が短く,自分の行なったケアの結果をみる前に患者は退院してしまうからである。日本では,疾患・病状にもよるが,外科患者であれば,たいてい抜糸後,「明日からでも仕事(学校)に行けますよ」という状態になるまで退院しない。その“長い”入院の間に家族ともすっかり仲良くなり,退院後の外来受診の際に病棟に立ち寄ってくれることもしばしばだ。しかし,アメリカでは,例えば,大腿骨骨頭置換術後2泊で退院していく。抜糸は外来あるいは転院先の病院で行ない,その患者に2度と会うことはない。特に脳外科の患者では一般的に回復の変化をみるには時間が必要であり,もちろん合併症なく送り出せるということは,その時点でのゴールは達成されているわけだが,ケアのアウトカムをみられないことが,こんなにも“やりがい”を感じられないものだとは思わなかった。
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