特集 看護現場のストレスマネジメント考
職場環境の活性化をめざして
職員が利用するカウンセラーを導入して―当院のメンタルヘルスケア実践
畠山 とも子
1
1木村病院看護部
pp.359
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100069
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■ささくれ立っていた看護師たちの心
木村病院(以下,当院)は東京都大田区にある98床の民間病院で,大正13年に開設されて以来,地域の人たちに支えられてきた。私が看護部長として着任したとき,看護部は上司や同僚,先輩看護師,経営者に対する不平,不満,不信感の塊のような状況で,看護師たちの心はささくれ立っていた。また入職希望者(主に准看護師)も,履歴書を見ると1~2年であちこちの病院を渡り歩いているような人たちが圧倒的に多かった。さらにその人たちが就職しても,数日で辞めてしまうことがめずらしくないほど,離職率も高かった。
私は長年の看護師生活で,心を病んで辞めていく看護師を多く見てきた。リアリティショックを乗り越えられずに辞めていく新人,患者やスタッフ間の人間関係がうまくとれずに病院を移る人など,さまざまである。辞めてしまわないまでも,ストレスが接遇態度に表われ,患者や家族からの苦情の絶えないスタッフもめずらしくなかった。その度に師長であった私はサポートのため面接をしていたが,時間とエネルギーをかけるわりに,思うように効果が上がらなかった。こうしたことから,心のケアをしてくれる専門家がいればいいのにと思うようになっていた。「働く者が幸せでなければよい仕事はできない。仕事が楽しいと思える職場にしよう」。この一念から,カウンセラーの導入を思いついた。
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