透析患者とその家族で取り組む合併症予防
メンタルヘルス 導入期
渡辺 俊之
1
1高崎健康福祉大学 健康福祉学部社会福祉学科
キーワード:
血液透析
,
現実検討
,
腎不全-慢性
,
精神保健
,
退行(心理学)
,
否認(心理学)
,
精神的能力
,
患者心理
Keyword:
Denial (Psychology)
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Mental Health
,
Regression (Psychology)
,
Reality Testing
,
Mental Competency
pp.1369-1377
発行日 2015年10月10日
Published Date 2015/10/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016051882
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透析導入時,スタッフが出会うことが多い患者の精神状態は「退行と否認」である.病気や治療のストレスが患者に「強いられた退行」を引き起こす.また,都合の悪いことは否認され,治療のコンプライアンスにも影響する.しかし,こうした状況に一時的に陥っても,正確な情報とスタッフとの良好な関係をとおして透析は受容されていく.しかし,患者のなかには導入期に精神症状を発現させる者もいる.透析導入2~10日で軽度から中等度以上まで,うつ状態の発現は44%と報告されている.また,不安障害の出現率は45.7%である(平均透析期間61ヵ月).今日的な導入期の問題は,導入の意思決定である.筆者は精神分析的な観点から,意識障害や精神疾患を合併していなくても,導入について判断力とその後の適応を理解するには,(1)現実検討力,(2)超自我,(3)適応的退行について理解することを推奨した.
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