連載 スクラブ・ナース 1年生・10
留学先を選ぶ
鈴木 美穂
pp.233
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100042
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ニューヨークで新しく人に出会うと,アメリカ人からはもちろんのこと,日本人にも「なぜアメリカに来たのか」「何が留学を思い立たせたのか」と必ず聞かれる。その返答に私はいつも困ってしまう。6年も経つと,なぜニューヨークにいるのか,その目的も変化してきているし,いくら6年前の気持ちを振り返ってみても,ただ漠然と留学してみたかったということだけしか思い出せない。ひとつはっきりしているのはアメリカに来たかったわけではなく,ニューヨークに来たかったということである。では,なぜニューヨークなのか? 大都市が好きだから,ミュージカルが好きだから,etc。こう答えると,東京も大都市だし,多くのミュージカルはロンドンで始まる,などと皮肉を返される。
じつはニューヨークへの留学を決める前に,ニューヨークで暮らせるかどうか下見旅行をした。私は行動を起こす前にじっくりとものを考えるほうではあまりないのだが,住むところを決めるときだけは別で,必ずといってよいほど実地踏査をする。交通の便やエリアの評判・ステータスなど第三者的な評価はもちろん少しは考慮するが,最終的な判断の根拠は純粋に自身の主観,それも第六感だ。例えば,英語圏ではロンドンやシドニー,サンフランシスコにも行ったが,「ここでは暮らせない」とそこで暮らしている自分がなんとなく想像できなかった。しかし,ニューヨークの場合は,単純に「ここなら暮らせる」と感じた。
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