——
留学だより
堀江 礼子
pp.72
発行日 1960年12月15日
Published Date 1960/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911227
- 有料閲覧
- 文献概要
ようやくピッツバーグにも本格的な春がやつてきて,近くの公園の桜が満開でさすがに日本の春を思い出しています。昨年の9月にここの大学のgraduate student assista—ntshipを得てこちらに来ましてから丁度2学期(秋学期,冬学期)を終了しました。この間学生として,教師としてアメリカの学生々活看護の現状の一端にふれる機会を得ました。さて後輩からの依頼で何か看護婦,保健婦,助産婦に関した記事をとの御注文ですが,私の専門は精神衛生,精神科看護という分野に限られておりますのでご期待に答えられるかどうか疑問ですが,まあ精神科に興味のある方,留学を希望する方には何かのお役に立つかもしれませんので私の経験をお話したいと思います。
私の留学の目的はいわゆる看護の分野では先進国と誰でも一応認めるアメリカの実情を自分の目で見て,その学ぶべき点と,別に歴史的,社会的,文化的背景の相異を考慮なしに考えられない問題点とをはつきりさせたかつたことが理由の1つとしてあげられます。しかしいつたんこの国の住人になると良し悪しは別としてここの社会の現状に適応しなければなりませんので,かえつて見通しがきかなくなつたような気がします。それでこの問題はまた何時か考える機会があると思いますので,疑問のままに残し,今回は,ピッツバーグ大学の看護学生の精神科実習の様子についてお知らせしましよう。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.