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昨今の若い整形外科医は,それほど留学に興味がないか,はたまた積極的でないと言われています.確かに,医療技術も医学研究もすべて,日本で学ぶことも実際に経験することもできます.インターネット検索したり,PubMedで論文をみれば,どこの何という先生がどんなことをしているか,その成績はどうなのか,などなど世界中の必要な情報がコンピューターと向かい合っているだけで簡単に手に入れることもできます.しかし,機会があればやはり留学をおススメしたい.ある程度の費用はかかります.英語が得意でなければコミュニケーションできるか不安になります.どんなことを学べばよいのか,どんな仕事を与えられるのか行ってみないとわかりません.家族の生活も心配です.でも,このようなことは何とかなるのです.英語はうまくなくても通じればよいのです.日本を離れて外国に居住し,医学や医療を体験すること,そうすれば日本とは仕組みも価値観も大きく違う社会を知り,多くの人たちと知り合い,医療人としての広がりが身に付きます.日本に戻ってから,違う角度や価値観で日本の医学・医療を考えることができ,日本にいても,いつもglobalを意識して仕事に取り組む姿勢が生まれます.
スーパーローテーションを基本とする新医師臨床研修制度が始まってから,そろそろ10年になります.また,大学などは独立法人化しました.どの大学も,医局員の確保や病院の収益増加に多大な労力を取られてしまい,内向的になっているかもしれません.1906年に日本で整形外科講座が開講してから100年以上が経過し,先人達の努力で日本からも多くの新しい整形外科学を世界に発信してきました.現在,整形外科に取り組んでおられる先生,ちょうど整形外科を始められた先生,これから整形外科医になろうとしている学生達も,どうか忘れないでいただきたい.留学をして新しい見識を広め,世界を知って,外国から日本を眺めてみてください.帰国してからは,今自分が行っている整形外科が世界の整形外科の中でどのような位置付けなのか.自分が考えていることが世界の考えと何が同じで何が違い,自分の立ち位置はどこなのか.
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