焦点 IT時代における看護研究の取り組み—次世代型遠隔看護システムの構築に向けて
新しい看護のパラダイムを拓く遠隔看護(telenursing)—その意義と世界の動向
川口 孝泰
1
1兵庫県立看護大学
pp.277-282
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900620
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はじめに
超高齢社会の到来に向けて,医療環境は病院型医療から在宅型医療へと急速に変化している。このような状況のなかで,医療は,病者を病院に迎えて治療・看護する体制から,病者の生活の場へ川向いて治療・看護する体制づくりの必要性に迫られている。1990年代中頃から急速に検討が進められている遠隔医療は,この状況に対応していくために,情報通信技術(IT)を利用した診断技術や治療技術の開発に努め,今後の在宅型医療を進めていくための手段として大きな期待が寄せられている15)。
しかし一方で,人々のニーズは,遠隔地から提供される診断技術や治療技術の進展とは別に,個々人の健康問題に関わって,さまざまな健康情報を提供したり,専門的に支援してくれるような医療職の役割に期待している。つまり,人々は,これまで医療者に任せきりであった健康問題を,個々人の問題として意識するようになり,自律的・主体的な健康意識の高まりをみせはじめたのである。そこで,このような一人一人の健康行動を継続的に支援できる専門家として,看護職の役割が強く求められている。
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