焦点 看護研究と倫理
がん看護学研究において生ずる研究対象者へのリスクとその配慮
内布 敦子
1
1兵庫県立看護大学
pp.153-159
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900606
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がん看護学研究の対象の特徴
数ある健康問題のなかでもがんは死因の第1位を占め,人々の関心が高く,社会的にも研究の必要性が高い領域である。医学の領域でも新薬の開発をはじめとする治療方法の開発は優先順位が高く,膨大な研究費が投入されている。がんは治療だけでなく,治療に伴うさまざまな症状,過酷な予後やサバイバルを支える看護の方法についてもまた研究開発の必要性は高い。また,疾患のドラマティックな展開は一般の人々の脅威につながり,医学,看護学の専門家の枠を超えて広く社会的に,その対応につながる研究が求められている。
がん看護研究の対象は,言うまでもなくがん患者が中心となるが,がんに罹患していない健康な人々であっても,がんに関する意識調査などではがん看護研究の対象になりうる。そのほかにがん看護に従事している看護婦や医師らもがん看護研究の対象になる。いずれの研究対象にも共通して言えることは,がんという疾患や治療過程に何らかの形で反応しており,多くの場合,その反応,すなわち身体的ならびに心理社会的反応を明らかにしたり,対処方法を導き出すことが研究の目的になるということである。
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