焦点 感染看護に関する研究と実践
手術部入口に設置した強酸性水湿潤マットの除菌効果
豊田 富士子
1
,
森済 省子
1
,
新屋 綾子
1
,
斎藤 由実子
1
,
井上 真由美
1
,
吉田 美恵子
1
,
齋藤 英昭
1
,
遠藤 美代子
2
,
高橋 泰子
3
1東京大学医学部附属病院手術部
2東京大学医学部
3東京大学大学院医学系研究科
pp.285-292
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900513
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はじめに
手術室では術中・術後感染を防止するために,清潔な環境を維持することがきわめて重要である。手術野は当然無菌操作であるが,使用器具や物品に関しても徹底した洗浄・消毒・滅菌が行なわれている。また,手術室内の環境整備や清掃,空調設備,入室者の衣類の着替えやスリッパへの履き替え,入室制限なども行なわれている。
さらに当手術部では,履き物などの塵埃による環境汚染を防止するため,患者入口付近に立ち入る医療従事者や,室内まで搬入されるストレッチャー・医療機器に対して粘着マットを設置している。しかしながら,粘着マットの補足能力は2時間,粘着力は約50人の通過で低下する1)という結果があるのに対し,当部の患者入口付近に立ち入る医療従事者の1日平均が197人,搬入車が26台である。また,厚生省健康政策局指導課によると,粘着マットの除菌率は25〜50%,それに対して湿潤マットは試験的な検討をしたところ90%の除菌率である2)とされている。
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