焦点 感染予防に関する看護研究
研究
MRSA感染患者病室入口に作成した消毒液を浸した布マットの除菌効果
高橋 泰子
1
,
井上 順子
2
,
菅沼 登美枝
2
,
豊田 富士子
2
,
松浦 聡子
2
,
山下 多香子
2
1東京大学医学部附属病院看護部・手術部
2東京大学医学部附属病院看護部
pp.291-295
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900207
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I.はじめに
東大病院では,感染症患者のケアをする際に,ガウンテクニックの一部として,ナースシューズから病室スリッパへの履き替えを行なっている。この履き替えは,煩雑な業務の中で咄嗟の対応にも時間が掛かること,また隔離施設が充実していない病室内に,常時置いてあるスリッパの清浄度に疑問があることなどから,ナースシューズのままで消毒液を浸した布マットを踏むことで除菌効果があるなら,ナースシューズを履き替える必要が無いのではないかと考えた。しかし,市販の除塵マットでは除菌効果はあまり期待できない1)。
一方,消毒液を浸した布マットを踏んで病室に入るという行為は,病棟などで経験的に行なわれているところもあるが,その除菌効果を明確に示した報告はあまり見られない。そこで我々は,実際にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染患者の病室入り口に,試作した消毒液を浸した布マットを設置し,通常のケアを行なうために出入りするナースシューズの靴底が,マットを踏むことで除菌されているかどうか,また除菌されるためのマットの条件および踏み方を検討した。その結果,看護実践に耐えると思われる,消毒液を浸した布マットを作成できたので報告する。
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