焦点 災害看護学の構築に向けて・Ⅱ
災害看護学構築に向けての課題と展望
南 裕子
1
1兵庫県立看護大学
pp.177-185
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900501
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1995年に発生した阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件は,防災や危機管理に関する日本人の意識を大きく変えた出来事だった。この年を境に本格的な防災,災害対策の施策やマニュアルあるいは指針が国や都道府県または専門団体や学会から次々と発表されるようになった。世界では国連が1990年代を「国際防災の10年」と位置づけて世界の各地で防災や危機管理の課題に取り組んでいるが,その後半になって日本では自然災害や人的災害が続発しているのは皮肉と言わざるをえない。
災害は,瞬時にして多くの人々の生命と健康を著しく脅かすものであるから,保健医療分野の専門家にとって防災や危機管理,災害直後から長期にいたる保健医療活動は大きな課題である。しかし,災害は突然に発生することが多いので,人類史上始まって以来発生しているにもかかわらず,この分野の研究が系統的に行なわれはじめたのはごく最近のことである。
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