焦点 災害看護学の構築に向けて・Ⅰ
地震災害の急性期における救急看護
高橋 章子
1
1大阪大学医学部保健学科
pp.321-331
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900463
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はじめに 阪神・淡路大震災の発生まで,わが国の医療従事者の間では震災に対する認識はきわめて粗末であった。医学教育においても,救急医学と関連させた災害医療教育を行なう大学が65%あるものの,時間数は90%が5時間未満と少なく,大半は2時間程度で,内容も系統的ではない。われわれの調査では,災害看護教育を行なっている学校も31%に過ぎず,内容は,災害看護の概念,救助活動などで,平均5時間程度に過ぎない。わが国が世界有数の災害多発国であるにもかかわらず,災害医療への認識が高まらない原因はこのような教育背景に負うところが少なくないと思える。
災害急性期に的確な医療対応ができるには,災害を知ることが前提であり,災害の種類,規模による傷病の予測,発災からの時間経過に伴う医療ニーズの変化などを理解して対応能力を高めておく必要がある。ここでは,地震災害の発生直後の救急医療ニーズならびに必要な医療と看護を中心に述べたい。
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