医学の話題
女性と更年期
杉 靖三郞
1
1教育大学
pp.37-39
発行日 1956年2月1日
Published Date 1956/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201001
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男性では,高令になるまで機能はのこり,いつとはなしに弱りつつ消えてゆくのだが,女性の更年期は大部分が45から50までの間に,月経の停止によってはっきりと仕切りがつく.その時期は,初潮がはやくなつたのと反比例して,このごろは,戦前より4〜5年ものびたといわれる.つまり,女性の生殖可能の期間がのびたわけだ.そんなわけで,50才すぎて出産した某夫人議員もあり,農村の婦人も妊娠して"孫が学校を卒業するのに,私がこれでは"という場合にも出合うようになつた.
日本女性が50すぎまで,生殖能力のあることは——外国婦人は50年も前からそうなっている——よろこぶべきことだが,40すぎてから出産することは,母性にとっても,子どもにとつても,十分に哺育し,養育するという点からは,考えものであろう.また,最近の研究では,母親が40すぎてからできた子どもは,肉体的にも,精神的にも,あまり丈夫でないことがあるというから,あまり年をとってからは生まぬようにすることがのぞましい.
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