焦点 ヘルスプロモーションに関する研究
栄養学におけるヘルスプロモーション
杉山 みち子
1
1国立健康・栄養研究所
pp.203-210
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900396
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「栄養」とは
生体が物質を体外から取り入れて利用し,成長,発育して生命を維持し,健全な生活活動を営むことを“栄養nutrition”といい,取り入れる物質を“栄養素nutrient”と規定している(図1)。“栄養”とは,私たちの身体が食べ物を取り入れた場合の,それを処理する状態のことである。しかしながら,「ニンジンは栄養がある」というように,栄養と栄養素の概念は混同されている。必要とする栄養素が食べ物の中に含まれていても,それがすべて,身体の中に取り入れられて,身体のためになるとは考えられない。それを受け入れる人間の心身の状況によって,その度合いは異なってくる。
一方,健康診断などの場合に「栄養がよい」という言葉も使われているが,これは食べ物を受け入れる身体の処理状況の良好なことであり,身体全体からみれば健康な状態のことである。
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