論説
女性の健康に関する今後の看護の方向性について—更年期に関する文献の検討を踏まえて
山崎 あけみ
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.155-161
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900391
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はじめに
女性特有の健康問題に包括的に関わる看護は,わが国では明確には概念化されていない。近年の助産婦教育カリキュラムは女性のライフサイクル全般の理解をめざすものであるが,臨床場面では周産期における活動が主体である。また,母性看護学の成書では,母性看護は「母性の一生を通じて働きかける援助」1)と定義されているが,母性が前面に出されており,ここでも女性の健康全般を包括しているとは言い難い。
つまり,アメリカでみられるような,プライマリヘルスケアの理念の下に,思春期から老年期にわたる女性の健康の増進・疾患の予防を一貫して啓蒙する役割を持つ専門看護婦(Women's Health Care Practitioner)は,未だわが国では確立されていないのである。しかしながら,女性の健康に関わるこのような専門家がアメリカ社会で果たしている役割の大きさを考える時,わが国での必要性が皆無であるかどうかを検証することは意味がある。
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