今月の主題 ワクチン―その開発と将来展望
巻頭言
ワクチンの開発と今後の方向性
神谷 齊
1
Hitoshi KAMIYA
1
1独立行政法人国立病院機構三重病院
pp.361-362
発行日 2004年4月15日
Published Date 2004/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100471
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20世紀の医学において最大の発展をしたのはワクチンであろう.少なくとも過去2年間に15以上の遺伝や免疫療法治療薬としてワクチンが市場に出現し,少なくとも25以上の薬剤が臨床試験の最終段階に来ている.最近米国の調査会社Theta Reports(本社ニューヨーク)はワクチンの開発の状況と世界市場調査を行い体系的にまとめた報告書Vaccines 2003 world Market and Developmentを発行した.このなかでは世界ワクチン市場における2001年から2002年にかけての進展のトレンドを分析して,治療用ワクチン,遺伝子療法,免疫性蛋白,抗体などに基づいた新しい治療法に焦点を当て,癌,自己免疫疾患,循環器系疾患,消化器疾患,性感染症,一般感染症の分野におけるワクチン開発状況を示している.
それによると2002~2007年における世界のワクチン市場での伸び率はワクチンタイプによって以下のように予想している.小児ワクチンは年間1件程度,成人のワクチンすなわち肝炎,インフルエンザ,ライム病,マラリア,天然痘,旅行者下痢症などの危機対策用が15件,新しい癌,感染症用,免疫療法用ワクチンが13件,全体的で分類しにくいもの12件と報告している.
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