連載 調査研究向上のために・2
実態調査と調査研究の「差」—調査研究と呼べる調査とは:理論編
河口 てる子
1,2
1大阪大学医学部保健学科
2前日本赤十字看護大学
pp.161-169
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900340
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はじめに―研究の幻想と科学的研究
あなたの「研究のイメージ」とはどのようなものでしょうか。「患者の行動でも,看護の評価でも自分のもやもやした,よく分からなくて疑問のものが,研究をすることによって“すっきりして出てくる”」,しかも「高尚な作業」と思っていませんか。
「よく分からないから研究する」「現象をはっきりさせたい」のは,研究の動機としては順当ですが,しかしながら一般に科学的研究と呼ばれているものでは,研究すれば何かが“すっきりして出てくる”ものではありません。研究者が自分の頭で“すっきり整理させたもの”を,本当にそうかどうか“証明する過程”が研究です。現象を研究者が単純化(理論化・モデル化)し,そのモデルが現実の現象と本当に適合しているかどうかを確認する作業。それが研究です。
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