焦点 看護管理と情報テクノロジー
提言
看護管理研究に必要な看護情報処理システムの必要性と可能性—「看護の質」検討データとしての「看護記録」とその情報処理
河口 てる子
1
1日本赤十字看護大学
pp.351-360
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900312
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はじめに
看護におけるコンピュータ化の圧力と戸惑い
病院にコンピュータが導入されて,会計事務だけでなく,病棟の診療記録や看護記録をコンピュータに入力しなければいけない状況になりつつある。しかし,実際には,看護記録に対するコンピュータの利用は決して多くなく,困難な業務との調査結果が出ている1)。それどころか,どのように入力したらいいのか,入れたデータをどのように使ったらいいのだろうか,という戸惑いや看護記録をコンピュータに入れていったい何ができるのだろうか,との疑問が多く出ている。
診断名や検査データ,バイタルサインといったものは,入力も利用も容易にできるが,看護記録などの看護の質的データは,経時記録であれPOS記録であれ,データベース化しにくい(と思われている)。またデータベース化しても,どのようにこのテータを使ったらいいのか分からないということが起こる。そうなると,入力する看護婦の側からみれば,コンピュータ利用の利点は見つからず,入力作業の分だけ,よけいな仕事が増えたとなるわけである。
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