特集 看護「教育」を見直す
看護教育における情報処理の意義
中野 正孝
1
1千葉大学看護学部
pp.23-28
発行日 1993年1月25日
Published Date 1993/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900511
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はじめに
看護系学校において「情報科学教育を行なう必要性は全くない」という意見はほとんど聞かないが,「教えなければならないことが他にも沢山あるので,そこまで手が回らない」「看護に必須というわけではないので,あまりやりたくない」「情報処理はコンピュータを扱うことでしょ.看護実践に何か役立つことがあるかしら」等という意見は耳にする.どうやら情報処理という言葉はコンピュータを扱うことと同義語で,看護と全く関係がないと思わないまでも,看護との関わりは少なく,時代が時代だけに看護婦もコンピュータ位は知っていて損はないという考え方が結構横行しているようである.
そのことは,看護と情報処理のこれまでの実状をある意味ではうまく言い当てているかも知れない.なぜなら情報処理について学習していなかったため,あるいはコンピュータを知らなかったため不利益を被ったという看護婦の話は聞いたことがあるが,看護ができなかったという話は聞いたことがないからである.しかし,それはこれまでの看護の中での話であり,世の中や医療事清の変化,患者のニード,看護婦を目指す若い人々の動向等で,今後不利益が我慢や容認できる範囲を越えてしまうかも知れないのである.
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