特集 国際シンポジウム「家族看護学研究の動向:患者と家族のQOLの向上と看護の充実をめざして」
第II部 成人・老人看護における家族看護学研究の動向
シンポジウム・4:痴呆性老人の家族看護学研究の課題
斎藤 和子
1
1千葉大学看護学部
pp.178-182
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900193
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
今日,わが国の中年以降の者が健康に関して最も恐れていることは,①がんになること,②寝たきりになること,および③痴呆になること,です。がんは全死亡の原因の第1位であることから理解できます。寝たきりや痴呆は直接の死因とはなりません。しかし寝たきりや痴呆になると自立的生活は困難となります。日常生活の全て,寝ることから起きること,食べることから排泄まで人手にかからねばなりません。このことは一方では自己の自主性,主体性を放棄することであり,人格の尊厳もおびやかされるおそれをいだかせ,他方介護する者の負担,労苦がいかに大きなものであるか推察させます。
したがって,多くの人は,介護を受ける側にも,そしてできれば介護する側にもなりたくないと思っています。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.