焦点 寝たきり老人の看護に関する研究[1]
解説
「寝たきり」とADL評価指標—「日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」をめぐって
工藤 禎子
1
1日本社会事業大学
pp.313-322
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900088
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はじめに
近年のわが国の高齢者問題の論議の高まりに伴って,欧米には「寝たきり老人」に直接対応する概念がないことや,それがケアの体制の違いに関係することなどが広く知られるようになった1-3)。「寝たきり」の概念の明確化と評価指標の基準化に関する課題は従来から指摘されてきた4,5)が,厚生省が1989年12月にうちだした「高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略」の中の「寝たきり老人ゼロ作戦」や,「『寝たきり老人』の現状分析並びに諸外国との比較に関する研究1)」が行なわれ「寝たきり」の概念整理が進みつつあるといえよう。
現在のところ,「寝たきり老人」とは,「要介護老人を総称し,障害,介護の中でも社会活動のために最も重要なADLである移動状況に重点をおいて表現したもの1)」とされている。すなわち,「寝たきり老人」を把握する際には,ADL,中でも移動能力の評価が重要であり,これらの評価が適正に行なわれることが,必要以上の安静や,「寝かせきり」を防ぐ第1歩といえる。
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