今月の主題 老人診療のポイント
治療および処置上の注意点
寝たきり防止
江藤 文夫
1
1東京大学医学部附属病院・リハビリテーション部
pp.1366
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221798
- 有料閲覧
- 文献概要
■寝たきりの成因
第一に疾患の重症度に依存して臥床安静を余儀なくされたもの,第二に疾患の種類により片麻痺などの身体障害を残存させたもの,第三に年月とともにいつとはなしに寝たきりに陥るものなどが寝たきりの過程として列挙される.いずれも過度の安静が多様な合併症を出現させ,二次的に起立歩行を困難にさせることが多い1).
高齢者ほど,寝たきり患者の出現率を増すことは,脳血管障害やパーキンソン病など身体障害を生じる疾患の加齢による増加と,転倒の項でも触れた運動機能系の老化性変化によるものである.さらに,これらの機能形態障害を基盤として,日常的活動量の減少と歩行不安定との間に悪循環を生じることに注目する必要がある(図)2).
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.