特集 日本看護診断研究会・第1回学術集会報告
教育講演
看護診断と看護理論
野島 良子
1
1徳島大学大学開放実践センター
pp.17-25
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900059
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はじめに
看護研究を促進するためには“Terminology”(専門学術用語)の確立が必須の条件であることを私が指摘したのは1977年である(野島,1977)。1984年に公にした『看護論』は,この考えに基づいて1979年頃からとりかかった「看護学におけるTerminologyの明確化に関する研究」が核になっている。しかし今日まで,わが国ではTerminologyの明確化,あるいは確立という考えが多くの賛同者を得て,組織的にその作業に着手されるところへまでは至っていない。わずかに日本看護科学学会が看護学学術用語検討委員会を組織され,独自に作業をすすめておられるのに気づく程度である。
看護診断という思想についても同様の傾向がうかがえる。看護診断という考え方が最初に提唱されたのは,米国では1953年Fryによってであるが(Fry V. S.,1953),わが国では1978年に徳島大教育学部の福井教授らが「看護診断とその文献的考察」(福井公明他,1978)の中で,看護が専門職として成立するためには,その実践過程が〈問題の診断〉過程と,そこで診断された問題を解決する〈治療の過程〉とに分けて考えられるべきであると提唱されたのが最初ではないかと思われる。
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