特集 経験の言語化の可能性—現象学的研究のインタビューを中心に考える
経験を明らかにすることの可能性と課題
西村 ユミ
1
1東京都立大学大学院人間健康科学研究科
pp.530-540
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202262
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医療とケアの現象学におけるアプローチ
先の家髙の論考では,『医療とケアの現象学』(榊原,西村編,2023)において,経験を開示するために,どのような独自のアプローチが生じたのであろうか? という問いが提示された。本稿では,この問いへの応答を目的に,“医師”の経験に注目した現象学的探究を再分析する。
私たちの経験には,はっきり自覚し難い内容が含まれており,それゆえ,振り返って言語化しなおすことにおいても,十全にそれを実現することは難しい。また,かつての経験をそのまま再現することも,現実的ではない。現象学的研究は,そのままを再現するのではない形で,言語化し難い経験を開示することを試みる。
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