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概要
特定の疾患や状態が存在する可能性やリスク,あるいは,特定のイベントが将来発生する可能性やリスクを医療者が判断する際の指標として,これまでさまざまな診断・予後の予測モデルが開発されてきた。予測モデルは,診断場面において,追加の検査実施や治療開始の判断に役立つ一方で,予後判断場面では,ある期間内に特定の結果や健康状態に陥るリスクに基づいたライフスタイルや治療などの決定・変更を行なうのに役立つ。しかし,これら多変量予測モデルの開発・検証を行なった研究報告の質は高くないということが,過去のいくつかのレビューより明らかになっている(Bouwmeester, et al., 2012;Collins, Mallett, Omar, & Yu, 2011;Collins, Omar, Shanyinde, & Yu, 2013;Mallett, Royston, Dutton, Waters, & Altman, 2010;Laupacis, Sekar, & Stiell, 1997;Ettema, Peelen, Schuurmans, Nierich, Kalkman, & Moons, 2010;Steyerberg et al., 2013)。そこで,多変量予測モデルの開発・検証に関する研究報告の質改善を目的として開発されたものが,TRIPODである。
TRIPODは,Collinsらによって開発され(Collins, Reitsma, Altman, & Moons, 2015),2015年にチェックリストおよび,その詳細と解説(E&E)が発表された(Moons et al., 2015)。TRIPODの対象は,主に医療分野におけるさまざまな多変量予測モデルの開発・検証を行なう研究である。
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