特集 看護研究における報告ガイドライン2
看護研究で念頭に置いておきたい報告ガイドライン30
Developing and evaluating complex interventions: new guidance—複雑介入の開発と評価
伊藤 奈央
1,2
1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野博士課程
2岩手医科大学附属病院高度看護研修センター
pp.114-115
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201735
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概要
複雑介入(complex intervention)は,複数の要素が相互作用するような複雑さを伴う介入研究であり,保健医療や公衆衛生,社会政策の分野などで広く使用されている。しかし,介入のアウトカムには相互作用する複数の要素が影響していることがあるため,このアウトカムがどのように生じたのか,評価者にとって説明が難しい場合がある。質の高い研究はバイアスが排除され,交絡因子やその他の介入以外の因子がコントロールされた条件下で行なわれるが,現実社会は交絡因子だらけで,介入に影響する多くの因子が存在する(秋山,2014)。介入研究において,アウトカムだけでなく,効果がどのようなプロセスを経て生じたかを検証することは,介入が広く実施されるために重要と考えられる。
2000年に,英国医学研究会議(Medical Research Council:MRC)は,複雑介入のためのRCTの開発と評価のためのフレームワークを開発した。さらに2006年にこれを改訂して,2019年には英国国立衛生研究所(National Institute for Health Research:NIHR)と共同で更新している。なおこのフレームワークは,現在のところEQUATOR Networkには収載されていないが,看護研究においては重要なガイダンスになるものと思われる。
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