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はじめに
わが国の専門看護師の教育課程が始まって,23年余りが経過した。この間,専門看護師の教育課程は領域・課程数ともに大きく増加した。専門看護師の自己研鑽と活躍,関係者の粘り強い努力によって,この資格は制度の中でも活かされるようになってきており,関係者のご努力に敬意を表したい。
筆者の所属する大学では制度の草創期から専門看護師教育を始め,多くの専門看護師を輩出してきた。たくましく役割を開発し,専門看護師として臨床で役立ちたいという夢を叶え,さらに専門看護師の活躍の場や役割そのものを拡大するほどの働きをする様子を誇らしく思い,教育を続けることを動機づけられてきた。
近年,臨床で活躍してきた専門看護師が博士課程に進学してくることが増えた。しかし,博士課程で彼らのそうした経験が活きるかというと,必ずしもそうではない。論文執筆の経験ということからみれば,修士論文と課題研究では,研究の規模や目的に当然違いがあるため,博士論文作成を中心にする研究者コースへの適応に苦しむ様子が気になった。
専門看護師を続けると,博士課程で教育を受けたいと思うようになる。専門看護師の教育にあたるための教員ポストの獲得にも,博士号取得は前提となってきている。しかし,現行の博士課程の教育が彼らに合わないとしたら,それはなぜか。専門看護師の力を伸ばし,視野を広げる博士課程の教育とはどのようなものか。本稿では,現状の看護系大学院における教育の要素と米国の高度実践看護師の最高学位として発展しつつあるDNP(Doctor of Nursing Practice)の教育の要素を比較し,双方の制度の相違を鑑みながら,専門看護師の継続教育に必要な要素について考察したい。特に,研究への関与について焦点を当てることによって,高度実践と研究活動の関連についても述べたい。
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