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専門看護師の歴史的変遷
わが国における専門看護師制度は,1994年に日本看護協会の通常総会においての審議を経て発足された。専門看護師として認定されるためには,専門看護師教育課程の認定を受けた大学院修士課程において特定の専門看護分野の所定の単位(26単位)を取得し,通算5年以上の看護師としての実務経験を有していること(うち3年以上は専門看護分野での実務経験)を経て,日本看護協会が実施する専門看護師認定審査〔書類審査と面接審査(現在は筆記審査)〕に合格することが要件となる。専門看護師制度の目的として,日本看護協会専門看護師規則第1条には,「日本看護協会専門看護師制度は,複雑で解決困難な看護問題を持つ個人,家族及び集団に対して,水準の高い看護ケアを効率よく提供するための,特定の看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより,保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上を図ることを目的とする」と示されている。1996年に認定を開始した専門看護師はCertified Nurse Specialist(CNS)の意味であり,米国のClinical Nurse Specialist(CNS)とは異なるが,機能としてはClinical Nurse Specialistに近いものであると考える。
専門看護師の役割としては,①個人,家族および集団に対して卓越した看護を実践する(実践),②看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行なう(相談),③必要なケアが円滑に行なわれるために,保健医療福祉に携わる人びとの間のコーディネーションを行なう(調整),④個人,家族および集団の権利を守るために,倫理的な問題や葛藤の解決を図る(倫理調整),⑤看護者に対し,ケアを向上させるため教育的機能を果たす(教育),⑥専門的知識および技術の向上ならびに開発を図るために,実践の場における研究活動を行なう(研究)の6つがある。これらを遂行できる能力を育成するために,大学院での教育課程が考案された。このカリキュラムは一定の期間で見直しがされているが,共通科目として,すべての専門看護師に共通して求められる上述の相談・調整(ケアの調整,倫理的調整)・教育・研究能力に関する理論学習があり,専攻分野の科目は,分野ごとに基準となる教育内容が存在する。その基準に合致する教育課程の認定を,日本看護系大学協議会が実施している。
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