- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
米国でDNPが発展した背景
2004年,American Association of Colleges of Nursing(AACN)は,「Position Statement of the Practice Doctorate in Nursing(看護学における実践博士号の基本方針表明)」を発表し,2015年までに,米国における高度実践看護師(Advanced Practice Nurses;APN)の育成課程を,これまでの修士課程から博士課程に移行することを表明した(AACN, 2004)。その背景には,これまで修士号をもつAPNが担ってきた仕事の質や責任を,他の職種では博士号レベルの人材が担っていることが多かったことが挙げられている。米国では医師,歯科医師以外にも薬剤師,心理士,理学療法士,聴覚訓練士などの臨床実践分野で博士号の取得が進んでいたため,看護師も臨床実践家のための博士号取得を進めることとした。
続いて2005年には,米国の国立科学アカデミー(National Academy of Sciences;NAS)も,看護学に研究以外の臨床博士号を設けることを求めることを示し(NAS, 2005),2010年には米国医学研究所(Institute of Medicine;IOM)も,2020年までに,博士号をもつ看護師を倍増させることを求める声明を出した(IOM, 2010)。こうした動きは,ヘルスケアを取り巻く環境が複雑に変わりゆく中で,科学的な知識と専門的な実践能力によって患者アウトカムを保証することが必要となり,特に看護実践のケアの質や患者安全にも科学的な裏づけが求められるようになったことに後押しされている。現在DNPの価値や意義は,看護専門職が将来のヘルスケアニーズに応えるための準備として,米国看護界で共通認識のものとなっている(Auerbach, et al., 2015)。2015年の報告では,DNP養成に向けたDNPプログラム数は289であるが,さらに128のプログラムが開校予定であり,在院生は2万1995人,修了生は4100人に増加している(AACN, 2016)。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.