投稿論文 展望・レビュー論文
未成年のLGBTを対象にした研究倫理に関するレビュー 保護者の同意に代わる倫理的配慮
田中 将司
1
1九州ルーテル学院大学
キーワード:
インフォームドコンセント
,
自己開示
,
人権
,
偏見
,
リスク
,
親の同意
,
研究倫理
,
未成年者
,
文献研究
,
性的少数者
Keyword:
Prejudice
,
Sexual and Gender Minorities
,
Human Rights
,
Informed Consent
,
Document Analysis
,
Risk
,
Self Disclosure
,
Minors
,
Parental Consent
,
Ethics, Research
pp.759-769
発行日 2022年11月10日
Published Date 2022/11/10
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本稿は,保護者の同意を得ることが難しい未成年のLGBTを対象にした研究で行う倫理的配慮と今後の課題を示すことを目的とした。国外の文献から,必ずしも保護者の同意は必要でなく,それに代わる倫理的配慮を行うことで,研究が実際に行われていることが示された。具体的な方法として,1)研究対象者の保護機能を強化するために,保護者以外の権利擁護者の許可を得ること,2)人権を尊重するために,同意形成能力を評価し,本人の同意を有効とみなすこと,3)リスクに備え独立したサポート体制を提供することが挙げられる。ほとんどの研究がこの方法に準じているが,近年の動向から,リクルートのあり方,研究テーマ,調査方法の構造度の観点から,研究の特徴に応じて倫理的配慮を独自に検討する重要性も考えられた。今後の課題のひとつに,児童期,幼少期のLGBTを対象にした研究はほとんどないことが挙げられた。研究実施の是非から慎重に検討されるべきである。

Copyright© 2022 Kongo Shuppan All rights reserved.