特集 査読を考える─査読ガイドラインの構築に向けて
〈査読を受けた経験をいま査読者としてどういかすか〉
著者と査読者の相互作用
西垣 昌和
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1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
キーワード:
Peer review
,
査読コメント
,
査読の質
,
査読ガイドライン
Keyword:
Peer review
,
査読コメント
,
査読の質
,
査読ガイドライン
pp.705-708
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201206
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印象に残っている査読
何をするにせよ,ビギナーの頃の経験はとかく印象に残りやすい。査読を受けた経験についても例外ではなく,本稿で紹介するのは,筆者が論文公表に関する経験値をほとんどもっていない頃のエピソードである。幾分前の経験にはなるが,いまでも鮮明に覚えているし,現在の査読スタイルに多分に影響を与えている。
筆者は,大学院生時代より,「遺伝看護」「生活習慣病予防」を2つの軸として研究に取り組んでおり,論文の投稿先は遺伝,各種生活習慣病,もしくは予防に関するテーマの専門誌が主で,このときに選択した投稿先は生活習慣病の専門誌であった。投稿から1か月半ほどが経過し,当該雑誌の編集委員会からInitial decisionのメールを受領した。過分な期待と恐怖の念を抱きながらメールを開いたところ,まず目に飛び込んできたのは,“I am sorry to inform you that…”から始まる定型文で,期待が一気に落胆に変わったのを覚えている─もっとも,その後免疫がつき,“sorry”,“apologize”,“regret”といった単語を含んだ文を見ると,反射的に数行下に“however”を探すようになったが─。
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