増刊号特集 大学院で学ぶ意味─新たな看護を創るために
〈修士修了の立場から〉
実践に根ざした知を創る
吉行 紀子
1
,
河野 あゆみ
2
1大阪市立大学大学院看護学研究科後期博士課程
2大阪市立大学大学院看護学研究科在宅看護学
pp.351-354
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201140
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■修士論文の概要
「訪問看護師に対する高齢者総合的機能評価(CGA)を活用した介護予防教育プログラムの評価」
CGA(Comprehensive geriatric assessment)とは,高齢者の生活機能を包括的な側面から評価することであり,機能低下の予防に重点を置く手法である。訪問看護の役割として,介護予防(要介護化の予防)があげられるが,その実施率は低く,訪問看護師の介護予防のスキルは十分ではない可能性がある。本研究では,訪問看護師に対しCGAを活用した教育プログラムを実施し,訪問看護師の高齢者に関する知識,CGAの理解と活用意向,介護予防の意欲と自信,虚弱高齢者への支援方針に対する効果を検討した。対象者は介入群40名,対照群41名の訪問看護師であった。介入群に提供したプログラムは,①高齢者の虚弱,②CGAの評価方法,③CGAを活用した介護予防訪問看護,の理解を促す内容で構成した。介入前後の質問紙調査の結果,介入群では,対照群に比べ,CGAの理解と活用意向,介護予防の意欲と自信の得点が有意に上昇した。また,介入後の事例検討会での対象者の発言内容から,虚弱高齢者への支援方針を比較検討した結果,介入群は,対照群に比べ,より具体的な支援内容を提案していた。以上,本研究では,本プログラムは訪問看護師のCGAの理解と活用意向,介護予防の意欲と自信,虚弱高齢者への支援方針に良好な効果があることが示唆された。
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