増刊号特集 大学院で学ぶ意味─新たな看護を創るために
〈修士修了の立場から〉
スタートライン─看護師が働きやすい環境を考え続けたい
横山 麻美
1
,
山本 則子
2
1東京大学大学院健康科学・看護学専攻成人看護学分野博士課程
2東京大学大学院医学系研究科
pp.347-350
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201139
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■修士論文のテーマと概要
「看護職同僚間におけるネガティブな言動の実態とその関連要因」
職場いじめは現在世界中で問題視されている現象である。さまざまな健康被害,離職意思の増加,職場満足度の低下を引き起こし,看護実践においては,安全管理能力の低下などケアの質の低下にも関連があるとみられており,早急に対処すべき問題である。職場いじめは被害者や加害者個人の問題だけでなく,職場環境が生み出す可能性が示唆されており,この研究の目的は看護職の職場いじめと職場環境,特にHealthy Work Environment(HWE)との関連を検証することであった。職場いじめは日本語版The Negative Acts Questionnaire Revised(NAQ-R)を使用し,ネガティブ言動を受ける頻度を測定後,22項目のネガティブ言動のうち1つでも週に1回以上受けている群を,いじめあり群とした。HWEは日本語版The Practice Environment Scale of Nursing Work Index(PES-NWI)を使用し測定した。職場外で研修やセミナーを受講している1152名の看護職を対象に質問紙調査を実施し,898枚回収,内825枚(有効回答率71.6%)を分析に使用した。その結果,いじめあり群は153名(18.5%)であった。HWEと職場いじめとの関連においてはロジスティック回帰分析で個人・職場属性を調整し,[看護管理職の力量,リーダーシップ,看護師への支援][人的資源の適切性]と関連があることがわかった。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.