増刊号特集 大学院で学ぶ意味─新たな看護を創るために
〈修士修了の立場から〉
看護研究から問題解決の方法を学ぶ
藤原 美保
1
,
坂下 玲子
2
1ラヴィータホームクリニック
2兵庫県立大学大学院看護学研究科
pp.335-338
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201136
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■修士論文の概要
「口腔ケアの受け入れが困難な認知症高齢者への口腔ケアの探求─看護師が用いる口腔ケアアプローチの抽出」
認知症高齢者が受け入れられる口腔ケアアプローチを抽出することを目的に,質的帰納的研究を行なった。研究協力者は,認知症看護に対する専門性をもって口腔ケアに取り組む看護師3名と,その看護師が担当する,口腔ケアの受け入れが困難な認知症高齢者8名であった。看護師には口腔ケアの参加観察と半構成的インタビューを実施し,認知症高齢者には口腔ケアの参加観察と施設記録から,必要な項目の情報取得を行なった。得られたデータは統合しカテゴリー化を行ない,帰納的にどのような口腔ケアが受け入れられるのか,看護師の口腔ケアアプローチを検討した。分析の結果,看護師による口腔ケアアプローチは,31個のサブカテゴリーと,〈認知症のその人が受け入れられるように体勢を作る〉〈その人にとって居心地の良い場を作る〉〈その人の思いを探りながら口腔ケアを進める〉〈口腔ケアを通してその人全体をケアする〉〈その日一日の安寧を考えて無理はしない〉〈口腔ケアで良い余韻を残す〉という6個のカテゴリーに集約された。そして口腔ケアの受け入れが困難な認知症高齢者に口腔ケアをするときの,看護師のかかわり方の視点を明らかにした。看護師らは絶えず認知症高齢者をアセスメントし,安全安楽のもと,その人の思いを探りながら口腔ケアをすることで,例えば意思疎通が困難な重度認知症高齢者とコミュニケーションをとることが可能となり,その人の意思を尊重しながらその人中心に口腔ケアが進められていた。
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