増刊号特集 大学院で学ぶ意味─新たな看護を創るために
〈修士修了の立場から〉
大学院で学ぶことから展開する知識の応用と研究に対する自覚─修士論文の研究の進行過程を辿りながら
新 裕紀子
1
,
中尾 久子
2
1九州大学大学院医学系学府保健学専攻看護学分野博士後期課程
2九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学分野
pp.331-334
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201135
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■修士論文の紹介
「看護師における喜びの経験と心理的well-beingとの関連」
修士論文の研究は2段階で行なった。はじめに臨床場面でのポジティブ感情の経験が看護師へ与える変化について,質的記述的研究を行なった。その結果,看護師という仕事の中で喜びを得る経験が,努力ややりがい感といったポジティブな変化を起こす上で重要であり,人間的成長へとつながっていく構造を有していた。
次に,臨床の看護師を対象に量的調査を行なった。質的研究結果と先行文献を参考に作成した「看護師としての喜び」の質問項目,堀野(1987;2001)の「自己充実的達成動機尺度」,および西田(2000)の「心理的well-being尺度」を使用し,関連性を検討した。
因子分析の結果,「看護師としての喜び」は「看護師としての自尊感情」「職場環境」「患者(家族)との関わり」の3因子構造であった。「看護師としての喜び」と「自己充実的達成動機」「心理的well-being」との間では,それぞれ有意な正の相関関係を認めた。また共分散構造分析の結果,特に「看護師としての自尊感情」は「心理的well-being」に強く影響していた。看護師としての自尊感情を高めるポジティブな経験の機会を増やしていくことが,看護師の心理的well-beingを高めていく上で重要であることが示唆された。
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