焦点 看護における家族研究の課題
綜説
精神障害者の社会復帰における家族の役割と家族支援—英米圏の研究動向と看護職の課題
羽山 由美子
1
1東京医科歯科大学医学部公衆衛生学教室
pp.386-402
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201036
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はじめに
ここ数年,老人をはじめとする慢性疾患患者の在宅ケアへの指向から,保健・医療および福祉の領域で家族への関心が高まりつつある。少数成員による核家族化と家族の価値観が変わりつつある中で,依然として,在宅で家族とともに暮らしながら療養することを望む声が一般的に聞かれる1)。また,医療費の国庫負担増大に伴って,社会的入院に代わる何らかの施策が急を要しており,在宅ケアを担う要員としての家族への期待もある。
こうした動向の中で,精神科の領域ではこれまで,障害者を抱える家族当事者の一部の運動を除いて,家族に関心がもたれることは少なかった。精神科では入院がいまだに医療の主要形態であり,単科精神病院の1日平均でみると,外来患者数は入院患者数の12.5%を占めるにすぎない2)。
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