焦点 Coping
研究
手術を受ける患者の術前術後のコーピングの分析
岡谷 恵子
1
1医療法人社団碧水会長谷川病院
pp.261-268
発行日 1988年4月15日
Published Date 1988/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200974
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はじめに
近年,健康の概念が全体論的な視点で論じられるようになり,人々のストレスへのコーピングに関する研究が重要視されるようになってきた。コーピングとは,ストレスへの対処のことであり,人が直面しているストレスを取り除いたり,緩和するために行なう認知的,行動的努力であると言われている1)。
病気やその治療は,ストレスの多い出来事である。特に癌は死亡順位の第一位を占め,そのイメージが死に直結することから,最も恐れられている病気である。癌の治療法としては今なお手術が有効な手段であるが,手術は治療の中でも特にストレスの多いものと言える。このことから,手術を身体的のみならず心理的ストレスと考えるようになり,研究の結果,手術患者の術前術後の心的過程を重視して,術前の不安や恐怖を緩和してはじめて術後の適応が可能になることが判明してきた。
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