焦点 セルフケア
座談会
セルフケア概念をどうとらえるか—研究的にアプローチするために
木下 康仁
1
,
南 裕子
2
,
中西 睦子
3
1〈財〉日本老人福祉財団
2聖路加看護大学
3日本赤十字看護大学
pp.410-427
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200943
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中西 私がアメリカから帰ってきたら,日本の文献にセルフケアという言葉がほとんど氾濫しているという状態でした。それ以前には,間接的にプライマリ・ヘルスケアの根底にある考え方だとか,Oremの理論などを通して,セルフケアの概念を学んできたんですけれども,今や看護だけではなくて,保健に関するあらゆる領域の文献の中にセルフケアという言葉がばらまかれているという状況です。意図的に文献検索をしたわけではありませんが,看護の研究論文の中にも,セルフケアをテーマの中に組み込んだ研究論文がふえてきている。しかし,セルフケアというのはもうちょっとずっしりした重みをもった概念だというのが,私個人の問題意識なんです。
どういう歴史的あるいは社会的文脈から,セルフケアという言葉が用いられるようになったかは,必ずしもきちんと論じられていない。健康関係の雑誌などを見ても,むしろ言葉の流行が先に立って,それを論者たちが一生懸命追いかけて論じているような,主観的ですが,そういう印象を受けました。ですから,研究の中でセルフケアということを取り上げるのであれば,あるいはアプローチするんであれば,もう少しその根底にある考え方を押さえていったほうがいいのではないか,そんな感じがしております。
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