焦点 "臨床における看護"の研究
研究
長期透析患者の看護—長期透析患者の実態を中心に
丸山 咲野
1
1京都大学医療技術短期大学部看護学科
pp.112-122
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200578
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Ⅰ はじめに
従来急性の腎機能不全患者にのみ試みられていた血液透析療法も,1960年にQuinton,およびScribner等によってパーマネントシャントが開発されて以来,このシャントを開閉することにより,同一患者に何回でも繰返し血液透析療法を行なえるようになった。すなわち,1960年を契機として,重篤で慢性の不可逆性腎不全にも血液透析療法が確立され,我が国にも導入された1),2)。その後も透析療法の進歩開発はめざましく,特に慢性腎不全においては,単なる尿毒症の治療法としてではなく,社会復帰を主体とした治療法となってきている。透析を行なうことによって,原理的には死亡する必要はなくなったわけであるが,この長期透析を成功させるためには,患者の状態に最も適した方法で,十分な透析を行なうことはもちろんのこと,それと同時に患者自身による生活管理の良否が,その成果を大きく左右する。このことについては,昨今多くの透析医療従事者の認めるところであり,筆者もすでに人工透析研究会第4回講習会において発表3)してきた。しかし生涯終ることなくこの療法の続行を必要とする人にとって,自己による生活管理を継続するには,あまりにも多くの厳しい制約とたたかわねばならない。
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