特集 人工透析
長期人工透析における患者と家族への教育
樋口 順三
1
1東京人工腎臓センター
pp.34-38
発行日 1973年3月1日
Published Date 1973/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204932
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腎不全対策が国の施政の方針として取り上げられて以来,この1年間に全国各地に多くの透析施設が設けられたことはまことに喜ばしいことである.しかし反面,時代の波に乗って,長期のビジョンを持たないままにともかくも人工腎臓の器械を購入し,安易に長期透析を開始したが,つぎつぎに透析患者が死亡するにおよんで,せっかく透析センターを開設したものの透析患者も不安を持ち,透析スタッフも相つぐ患者の死によって自信をなくし,ついには透析センターを閉鎖し,せっかくの人工腎臓の器械も倉庫にしまいこまれるということすら起こりはじめている.長期人工透析センターの開設にあたりぜひ必要なことは,長期透析に対するしっかりした方針を持ち,その方針に基づいてパラメディカルスタッフを十分教育するとともに,透析患者およびその家族に徹底した人工透析による生き方を教えこむことである.
ここでは,当センターで行なっている患者および家族教育の実際を紹介しながら,その指導方法について述べていきたい.
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