寄稿
長期透析患者の諸問題と将来の課題
土谷 太郎
1
1医療法人土谷病院
pp.777-780
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207245
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昭和40年の始めころより透析の勉強を始め,昭和42年8月TanksystemのDialysate Supply Systemと3台のConsolを購入し,透析療法を開始して,大概13年の日時が過ぎた.4〜5例の急性腎不全の経験の後,本式の慢性腎不全の透析を開始したのは42年12月24日であり,尿毒症々状がひどく,意識不明が続き,4時間程度の我々が提唱していたShort duration daily dialysisを4日間行い,意識が回復した時の喜びは忘れることができない.このことは当時我々の病院のスタッフであり,現在広島大学第二外科講師の土肥雪彦先生が,ワシントン大学でDr.Scribnerのもとで研修して帰った当時としての最新の知識の成果であった.以来,43年12月31日までの1年間に16名の慢性透析患者を得た.この患者のうち3名は現在でも元気で当院で透析療法を行っており,当時は日本に施設が少なく,非常に遠隔の地より入院していた関係もあり,10名は他施設に転医し,3名は1年8か月,5年11か月,8年6か月の透析の後死亡した.当時の透析の適応を現在と比較すると非常に厳しく制限していたので,合併症のあるものは少なく,あっても軽度であり,年齢も60歳以下としていたので,患者に対する問題は少なかった.
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