臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
XI.腎疾患
4.透析患者の合併症対策
長期透析患者の不安とその対策
平沢 由平
1
1信楽園病院腎センター
pp.2288-2290
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208338
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はじめに
長期透析患者は治癒を望めない基礎疾患をもち,生涯,透析治療を続けなければならない宿命を背負っている.十分に透析療法をうけていても健康体の活動力には遠く及ばないし,種々の合併症も発展しやすい.毎回の治療に関係した代謝性変動はしばしば苦痛を与え,いっそう健康感を障害する.また,治療そのものの安全性も絶対的とはいえず,慣れた患者でも不安感を伴うことは避けられない.治療による時間的制限や身体的条件のために職場を失い,収入も低下し,立身の道も閉ざされ,家族内や夫婦間のトラブルもしばしば起こりうる.慢性疾患はいずれもこのような種々のストレスを負うことになるが,その程度は長期透析患者ではいっそう強いと考えられる場合が多い.これらのストレスは患者に不安感,喪失感,絶望感などの情緒反応を起こし,うまく適応できないときは,いらいら症状や抑うつ症状などの心因性精神症状や,拒絶,自殺などの異常行動を発現することが少なくない.
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