焦点 看護における基礎研究
研究
基本的体位の体圧と枕によるその変化
山口 公代
1
,
萩沢 さつえ
1
1熊本大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程
pp.282-288
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200564
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はじめに
私達は日常あらゆる動作を無意識に行っているが,それを制限されると非常に苦痛である。入院患者の中でも自分で体を動かすことのできない患者や,病状により同一体位をとり続けなければならない患者にとって,この苦痛ははかりしれないものであろう。このような時,いかにその苦痛を軽減し安楽にさせるかということは看護の援助の中でも基本的な問題である。体位の安楽について考える場合,まず生理的側面からの安楽ということがあげられ,それには生体に加わる圧迫とそれに起因する疼痛,循環障害などの諸要因が考えられ,それらを軽減するために私達は枕などを利用し患者の安楽をはかっている。体位に関する看護関係者の報告にはそのような用具の工夫に関するものは多い。しかし,中西ら1)は「その工夫を必要とした根拠が必ずしも明らかでなく,成果の立証に客観性が乏しい」と指摘し,また氏家2)も基本的な看護行為の裏づけとなる研究の必要性を述べている。そこで私達は生体に加わる圧迫という面から体位の援助についてその根拠を考えてみることにした。
体圧に関する文献は 1)体圧分布に関するもの,2)体圧による局所の病理学的変化に関するもの,3)体圧と局所血流量の関係をみたもの,4)体圧による局所の温度変化に関するものに大別できる。
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