焦点 患者の精神生活にどこまでかかわるか・3
研究
入院患児の看護における看護婦と母親の役割(1)—看護婦からみた看護内容の現実と期待
伊東 和子
1
,
波多野 梗子
2
,
村田 恵子
3
1元:神奈川県立衛生短大
2日本女子体育大学
3東海大学医療技術短大
pp.109-117
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200481
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I.はじめに
子どもの成長発達,ことに人格形成の面で最も大きな影響を及ぼすのは親と子の関係であるといわれている。子どもは母親を特別な人間として識別し,身体的・情緒的ニードを充足してくれる全能者としてとらえている。いいかえれば,両親を全面的に信頼することによって子どもの世界は安定し,その基盤があってはじめて子どもは,自ら回りの人や物に触れたり試したりしながら世界を広げ自立していく。この子どもの親に対する信頼が最初からほとんど持てなかったり,また何らかの形でうらぎられたりすろと(親のほうでは,うらぎっているつもりはなくても,状況の判断が未熟である乳幼児の場合は,現実の出来事からそのように思う場合もある),発達の途上で情緒的な"ゆがみ"が生ずる場合もある。
このような観点から,病気で入院した小児における両親との別離が,身体上のさまざまな苦痛と相まって,情緒的な問題をひきおこすことがいわれてきた。そして,最近では入院した子どもにとっての母親の役割の重要性が提唱され,母親参加の看護が奨励されている。
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